イメージング技術と IoT、AI 技術を融合させた画像 IoT プラットフォーム『FORXAI』を短期間で AWS 上に構築
非接触、リモート対応が可能なソリューションの創出に貢献

2022

材料・光学・微細加工・画像のコア技術を活かして、多彩な事業を展開するコニカミノルタ株式会社。同社は、イメージング技術と、最新の IoT、AI 技術を融合させた画像 IoT プラットフォーム『FORXAI (フォーサイ)』を開発し、2020 年 11 月にリリースしました。インフラ基盤にはアマゾン ウェブ サービス(AWS)と AWS パートナーである株式会社 ACCESS のクラウド統合ソリューション『ACCESS Connect』を採用。FORXAI は現在、次世代 QOL システム、工場の見える化ソリューションなどに採用され、開発効率の向上や運用負荷の軽減に貢献しています。

AWS 導入事例  | コニカミノルタ株式会社
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ビジネスモデルの創出につながるプラットフォームを短期間で構築することができました。これからも AWS と ACCESS とは、共創パートナーとしてお互いを高め合う関係を築いていきたいと思います

木村 和伸 氏
コニカミノルタ株式会社
IoT サービス PF 開発統括部 
アーキテクチャ開発部 部長

新たなビジネスの創出に向けてイメージング技術を活かしたソリューションを開発

カメラ・写真フィルムメーカーとして創業し、2003 年にコニカとミノルタの経営統合によって発足したコニカミノルタ。現在はイメージングを核とした、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの 4 つの事業を展開しています。2020 年度からスタートした中期経営計画「DX2022」では、デジタルワークプレイス領域の成長と、計測・検査・診断の領域での事業基盤確立の 2 つを目標に掲げています。

この方針に基づき、2020 年 11 月にリリースしたのが、画像 IoT プラットフォーム『FORXAI』です。『FORXAI』は、画像入力デバイスから得られる写真や動画と、IoT 機器から得られるデータを AI によるエッジコンピューティングで処理し、クラウド上にデータを蓄積して解析するプラットフォームです。
「開発のきっかけは、全社で事業構造の転換に踏み出したことです。ペーパーレス化の進展で事業環境が激変する中、オフィス事業に依存しないポートフォリオの実現に向けて、ビジネスモデルの創出が求められていました。その中で、当社の強みであるイメージング技術と、最新技術の IoT、AI に着目しました」と語るのは、IoT サービス PF開発統括部 アーキテクチャ開発部 部長の木村和伸氏です。

IoT プラットフォームの基盤には AWS と ACCESS Connect を採用

FORXAI の開発に着手した同社は、IoT プラットフォームの基盤に AWS を採用しました。その理由は、すでに AWS を使った実績があり、技術者にノウハウが蓄積されていたことです。IoT サービス PF 開発統括部 アーキテクチャ開発部 第 1 グループ グループリーダーの吉田宏樹氏は「当社では 2012 年から AWS を活用し始め、多数のプロジェクトで実績をあげています。短期間で開発するのであれば、技術者が慣れている AWS を採用するのは自然の流れでした」と語ります。

IoT プラットフォームの構築において、バックエンドのデバイス管理、アカウント管理、リモートアップデートの 3 機能は、ACCESS の BaaS サービス『ACCESS Connect』を採用しました。
「ACCESS を採用した理由は、短期間で構築するためです。ACCESS の提案は当社の要望にマッチしたもので、新規事業をスモールスタートで立ち上げるうえで、コスト面でも有利でした。ACCESS Connect 自体も AWS 上に構築されているため、親和性の高さも評価しました」(木村氏)

プロジェクトは 2017 年にスタートし、PoC レベルで IoT プラットフォームを構築して、2018 年から社内の一部の事業部向けに適用を開始しました。そこでのフィードバックを受けながら、FORXAI としてリリースするための要件を固めていきました。

アーキテクチャとして、収集したデータを AI で処理するエッジコンピューティングの領域では、コンテナによってマイクロサービス化し、コンテナイメージを保存・デプロイするレジストリには Amazon Elastic Container Registry (ECR) を採用しています。IoT サービス PF 開発統括部 アーキテクチャ開発部 第 1 グループ アシスタントマネージャーの戸川智史氏は「AI とソリューションの開発者が、それぞれ効率的に AI をソリューションに組み込めるようにコンテナを活用し、Amazon ECR で開発効率の向上を図りました」と説明します。

バックエンドの領域では、ACCESS Connect の利用と並行して、Amazon Cognito を活用した認証機能を自社開発しています。IoTサービス PF 開発統括部 アーキテクチャ開発部 第 1 グループの井田匠海氏は「FORXAI 内部はさまざまなマイクロサービスの集合で構成されています。さらに、FORXAI を利用する事業部側のサービスともシームレスな連携が求められていました。Amazon Cognito を活用することで、各サービスへの改修を最小限に抑えながら、OAuth と SAML による SSO を実現しました」と語ります。

プロジェクトにおいて ACCESS はエッジ側からのコマンド送信、デバイス側からのデータアップロード等の API 開発を担当しました。2017 年から 3 年間にわたる ACCESS の支援に対して、IoT サービス PF開発統括部 アーキテクチャ開発部 第1グループ 主任の森田哲史氏は「2017 年当初から ACCESS には、特に IoT に関わる AWS の技術を紹介してもらいながら、開発を進めてきました。おかげで、エンジニアの技術レベルを向上することができました」と振り返ります。

介護、工場、マーケティング等で活用開始

短期開発と運用コスト削減に貢献

非接触・遠隔モニタリングによって“見えないモノを見える化”する FORXAI の技術は、すでに多くの現場で活用されています。コニカミノルタグループの QOL(Quality of Life)の事業会社では、介護施設向けのソリューションに適用し、利用者の動きを分析することで転倒などを防ぎ、介護現場の負担を軽減しています。その他にも、工場内における人と設備の状況を可視化して生産性改善を支援するソリューション、ガス監視ソリューションなどが展開されています。FORXAI はこうしたソリューションにおいて、短期間での開発と運用コストの削減に貢献しています。
「QOL システムの管理サーバーが保守サポートを終了した際には、従来の 30% ~ 40% の工数で代替のソリューションを展開することができました。IoT プラットフォームを活用したリモートメンテナンス機能により、QOL システムの運用工数も従来のツールと比べて 60% ~ 70% の削減が可能になり、ビジネスロジックの検討に集中できるようになりました」(吉田氏)

開発者にとっても効果は大きく、AWS のマネージドサービスの活用で、開発効率は大幅に向上しています。
「AWS Lambda、Amazon API Gateway、Amazon DynamoDB 等の活用でサーバーやミドルウェアの管理から解放されました。スケーリングやバックアップもすべてお任せできるため、開発者は機能提供に専念することができます」(戸川氏)

AI 機能の強化と MLOps の実装により FORXAI の海外展開も視野に

FORXAI ではエンドユーザーに多彩なソリューションを提供することを狙いに、ソリューションパートナー、技術パートナーによるコミュニティを形成しています。今後は、こうしたパートナーとの連携を通して、FORXAI を国内だけでなく海外にも展開していく予定です。
「海外展開に向けての課題は、当社の強みであるエッジエリアでの AI の機能強化を継続することがひとつです。もうひとつはプラットフォーム側での AI 活用です。MLOps(機械学習基盤)によってデータを分析し、その結果をエッジ側にデプロイすることで新たなビジネスモデルを模索していきます。AWS と ACCESS とは、引き続き共創パートナーとしてお互いを高め合う関係を築いていきたいと思っています」(木村氏)

木村 和伸 氏

吉田 宏樹 氏

戸川 智史 氏

森田 哲史 氏

井田 匠海 氏


カスタマープロフィール:コニカミノルタ株式会社

  • 設立: 1936 年 12 月 22 日
  • 資本金: 375 億 1,900 万円
  • 従業員数:連結 40,979 名(2021 年 3 月現在)
  • 事業内容:デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 画像 IoT プラットフォーム『FORXAI』の早期リリース
  • 介護、工場、マーケティング等の現場で活用がスタート
  • 管理サーバーのリプレース工数を 30% ~ 40% に圧縮
  • リモートメンテナンス機能により、システムの運用工数を 60% ~ 70% 削減
  • AWS のマネージドサービスの活用で開発効率を向上

AWS IoT コンピテンシーパートナー

株式会社 ACCESS

1984 年の設立以来、独立系ソフトウェア企業として、世界中の通信、家電、自動車、放送、出版、エネルギーインフラ業界向けに、モバイル並びにネットワークソフトウェア技術を核とした先進の IT ソリューションを提供。AWS が認定する「IoT コンピテンシー」を有しており、クラウド領域の構築についても、高い技術力と豊富な開発実績でお客様のサービス開発・実現を支援している。


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Amazon Elastic Container Registry (ECR) は、完全マネージド型の Docker コンテナレジストリです。このレジストリを使うと、開発者は Docker コンテナイメージを簡単に保存、管理、デプロイできます。

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